部屋を借りるなら1~3月、結婚式場の予約ピークといえば6月ですよね。
転職活動に適した時期というのはあるのでしょうか。
時期によって求人の状況は変化するので、それによって有利不利があるのでは…と思う方も多いと思います。
では、転職の求人が増えるのはいつでしょうか。
企業の求人数が多い時期と、逆に停滞する時期の流れを把握しておけば、転職活動に活かせることは確かです。
転職活動は思い立った日から開始するのがベストですが、成功への第一歩として、転職の時期について知っておくべきポイントを確認していきましょう。
企業側の立場に立って、どのようなときに求人を行うのかを考えてみましょう。
求人を行うのは、なんらかの人員不足しているということを示していますが、企業は、下記のような要素から人員を募集するのです。
この中でも大きいのは、既存の人材が退職することで、人員補充のための求人が最もポピュラーです。
もう一つは、事業拡大によって、現在社内にいないような人員を募集するというものです。
年度計画や決算の月は、多くの企業に共通していますので、求人の増減には毎年似た波があることになります。
もっとも、景気や業界動向によって、企業の求人活動は代わりますので、何月が最も求人数が増えるのかは、いちがいには言い切れません。
上記したように、全体的な傾向からいうと、企業は決算時期や新規プロジェクトにあわせて求人を行います。事業年度から考えれば、新年度を迎える4月、下期の始まる10月に、退職者の後任補充や新規事業のスタートなど社内体制を整備するため、中途採用ニーズが高まります。応募者の選考期間を考慮に入れると、2月末から3月、そして9月が求人が増えるピークということになります。
求人が増えるということは応募先選びの選択肢が増えるわけですから、転職者にとっては明るい状況ですが、同時に、転職者も増える傾向がありますので、ライバルとの競争が激しくなると思えば、必ずしも良いことばかりではありません。
これに対して、一般的に12月中旬以降、8月上旬などは求人件数は少なくなります。
この時期に人材を募集するのは、急な欠員のために即戦力を必要とする企業、あえて時期をずらして求人を行う、応募の少ない企業が多いです。
ただし、最近では、企業側の採用意欲も高くなっており、通年採用が一般的になりつつあります。年末年始やゴールデンウィーク、8月中旬の旧盆の時期を除き、年間を通して求人が行われています。
転職希望者が多くなるということは、転職活動のライバルが多いことになります。
総務省の労働力調査によれば、転職者数は9月~10月と2月~3月に若干増えています。
9月~10月に転職する人の多くはボーナスを貰った直後に退職する人、2~3月に転職する人は、年度初めの4月に入社することを見すえて転職活動を始める人です。
こうした時期には、人員補充をしたい企業の求人も増えますが、転職活動をする人の数も、それ以上に増えます。
人気が高い企業や、通年募集の求人に応募する場合は、ライバルが多く、狭き門になってしまう可能性があるため、かえってずらしたほうがいいようなこともあります。
ただし、業種や職種によっても季節は異なります。たとえば経理関連の職種なら、3月~6月頃までは決算業務等の繁忙期なので、転職希望者は減少します。
求人数は1月から右肩上がりに増え、3月がピークになります。
12月のボーナス後には退職者が増えるため、不足する人員を補充をするという意図と、4月の新年度に向けて組織改変が行われるため、マネジメント層を含め、新しい人材が必要になるという意図があります。
4月までに予定している人員をなんとか確保したい企業が、採用活動のラストスパートをかける時期でもあります。
4月の組織改変によって、新たに退職者が発生し、新組織での課題も明確化するため、ふたたび、右肩上がりに求人が増えるので、転職者にとってはチャンスとなります。
下半期がスタートする10月に向けて、中途採用の求人数はこの時期がピークになります。
6月にボーナスをもらって7月~8月にかけて退職者が増えますので、企業では欠員を補充するために9月~10月にかけて求人を出すことになります。
また、中間決算を迎えて業績が良かった企業などが、8月下旬以降に追加で求人を行うケースも多いです。通常ではなかなか見られない求人情報も公開される可能性が高くなります。
急な欠員・プロジェクトの立ち上げなどによる求人では、人物重視よりも即戦力になる人材を募集します。
また、4月から新人としてスタートしてほしいため研修を受けてもらう未経験歓迎の求人も出てきます。
予定していた採用を年内に完結させるために、採用条件のハードルを下げる企業もあります。
12月になると冬のボーナスシーズンになるため、転職希望者の側も、11月になるとブレーキをかけがちです(ボーナスをもらって、年明けから活動を始めようと考える)。
こういった人材を狙って、秋口に決着させたいと企業も考えるわけです。
これらの理由が相まって「秋口」に求人が増えていきます。
4月は求人数が減り、転職活動が苦戦するかもしれない時期です。
企業では組織改変があったばかり。新入社員も入ってきていますので、社内は落ち着かない状況で、人事担当者にも新しく求人を行う余裕はありません。
ただし、年度末の3月に退職者が出ますので、その補充募集はあります。これは急を要するために、採用への本気度が高い傾向にあり、選考も早く進むでしょう。タイミング重視の採用です。
ライバルが少なくなる時期であることも、人によっては有利です。新年度は誰もが忙しく、転職活動に手を出しにくい時期だからです。
夏はお盆休み・夏季休暇のために、企業でも採用活動が停滞します。
12月は、下半期での人員補充が一段落してしまう時期です。また年末の繁忙期でもあり、年末の休みで転職者の動きも鈍ります。これを受けて、求人数が減る停滞期です。
さて、大まかな1年間の動向についてご紹介しましたが、何度も繰り返すように、景気動向や業界・業種によって異なります。
年ごとに変化するこうした動向は、どのようにして知ればいいのでしょうか。
これは、転職エージェントを活用するのが確かです。
転職エージェントは、多くの企業と横断的にコミュニケーションしていますので、求人動向だけでなく、業界の景気動向も把握しているのです。
良いエージェントに当たれば、動くべき時期、動かない方がいい時期について、的確なアドバイスをしてもらえることが期待できます。
転職エージェントを利用したことがない方は、「予想していなかったような企業への転職もサポートしてくれる「転職エージェント」を活用しよう」という記事をぜひ参考にしてみてください。
求人が少ない時期に退職すると、いい企業と出会える確率が下がりますので、まず今の会社を退職前に相談し、良いアドバイスをもらうことができれば、時期を見誤って失敗するようなことを避けられます。
転職活動において、タイミングが重要であることは確かです。
きちんと、丁寧に準備をすれば、あなたにとって大事なタイミングを掴むことは夢ではありません。
求人数や転職者数の年間での傾向を紹介しましたが、この時期にあわせて転職活動をスタートさせればいいのかというと、それは違います。
転職活動には準備期間が必要です。それを踏まえておかなければ出遅れてしまうことになります。少し早めに活動を始めましょう。
転職活動は、応募や面接だけではありません。
なぜ転職したいのかという自分の気持ちを整理し、退職の意思をかためたら、キャリアを見直し、志望動機などを明確にし、履歴書・職務経歴書といった応募書類をじっくり時間かけて用意する必要があります。入社しようと思う会社の業界動向についても調べなければなりません。
こうしたことにかける時間を考えると、実際の応募や面接の1~2ヶ月前には、準備を始める必要があるでしょう。
また、今の会社にしても、すぐに辞められるものではありません。上司に退職の意思を伝え、就業規則にしたがって退職届を提出しなければなりませんし、繁忙期やプロジェクトの途中など、社会人としてに会社に迷惑をかけて退職するようなことは避けるべきです。あくまで円満退職を目指しましょう。
転職に有利な時期は一人ひとり違います。
求人の数も大事ですが、まずは情報収集からはじめて、自分に必要な準備期間やタイミングを読み、具体的なスケジュールをもとに自分なりの転職時期を決めましょう。
求人数の増減は、あくまで企業数と転職者数の数のことで、本当に行きたいとおもう企業に巡り合えるかは、また別です。
求人が多いということのメリットは、選択肢が増えるということですが、同じようにライバルも増えることになるのですから、転職活動が楽になるわけでありません。
だから、この時期に転職しないと損をするとか、この時期に転職すると得をするといったことは基本的にありません。
転職の難易度はどの時期でも変わりません。
適切な準備をして、自分が転職したいと思った時が、転職すべきベストなタイミングであることを忘れないでください。