ようやくの思いで書類選考をクリアし、満を持して面接に臨んだはずなのに、「今回は誠に残念ながら採用を見送らせて頂くことになりました。あなた様の今後のご活躍をお祈りしております」というメールが……
いわゆる「お祈り」というものですが、何が悪かったのかということがわからないこともあります。
ある程度、面接時の感触から「合わない」ということを予想できる場合もありますが、中には思いがけない理由で不採用になっていることもあるかもしれません。
そんな場合には、失敗の原因を意識して対策すれば必ず良い結果を出すことができます。
ぜひ参考にしてみてください。
ほとんどの場合、不採用通知である「お祈り」メールに不採用の理由が書いてあることはありません。
しかし、ハローワーク経由で応募した場合は、求人企業は不採用の理由をハローワークに報告しています。その内容から、全体の傾向を推し量ることができるでしょう。
それによると、下記のような理由が多いことがわかります。
それでは、具体的に見てみましょう。
「他の人を採用した」を含め、「経験不足」「スキル不足」が不採用の理由になるケースは最もポピュラーなものです。
応募要項に記載されている最低限のスキルや経験年数は、あくまで「最低限」であり、ひとつのボーダーラインに過ぎません。資格やスコアをはじめ、これまで担当して来た案件や前職がどんな企業だったかということも判断材料になります。
書類選考には通ったとしても、「この人にうちで働いてもらいたい」と選考にあたる面接官に思ってもらえなければ、採用にはいたりません。
ただし、この理由を挙げるという募集企業は、応募者が真摯な姿勢で面接に臨んだことをある程度は評価しています。いわば、「残念がっている」とも言えるでしょう。
というのも、スキルや経験が不足していることは、履歴書や職務経歴書を見れば大体はわかっているからです。それでも面接を要望したということは、ある程度それが足りないことを承知の上で、ほかの能力や経験が、足りない部分をカバーするなら採用しようと考えていたはずです。少々条件が合わなくても、面接の結果、採用になるケースも多々あります。
就職活動はよくお見合いにたとえられますが、そんな相性もあるのです。
ほとんどの応募者は、「こんな経験を積みました」「こんなスキルを身に付けました」と、自分のキャリアや能力を最大限大きく見せようと考えるものです。
しかし、あまりに「優れた能力と実績」をアピールしすぎると、企業側にも不安を抱かせてしまうケースがあります。「うちの会社では物足りなくて、すぐに辞めてしまうのでは」という不安です。
企業側としては、もちろん即戦力になってくれることは喜ばしいのですが、多くの場合、成長意欲があり、伸びしろを感じさせる人を歓迎する傾向にあります。
その場合は、過去の経験・実績より、「なぜこの会社に入りたいのか」「この会社で何がしたいのか」ということを語ることのほうが大切になります。
「面接は、企業の意図を知ればあやうからず」という記事も参考にしていただき、面接では、相手が何を求めているか、ニーズを意識することを心がけましょう。
多くの場合、コミュニケーション力はとても重視されるポイントで、ほんのちょっとしたことが不信感につながり、マイナス評価になってしまうこともあります。
スキルや経験が十分でも、チームの中で連携できなかったり、職場の雰囲気に馴染めなかったりすると、せっかく採用しても長続きせず、万一辞められてしまったら、また一から募集・採用する労力とコスト、そして教育の手間がかかることになるのですから、人事担当者としてはどうしても二の足を踏みます。
コミュニケーション力は、応募書類からは判断できないものなので、特に面接でチェックされることになります。面接官の質問にスムーズに答えたり、回答の方向が不適切だと判断されると、やはり不採用の理由になるわけです。
前職の解雇理由など、人によって様々な事情があり、話しにくいと思ってしまうかもしれませんが、きちんと説明できればいいのです。ただし、応募している企業に当てはまるような理由は避けたほうがいいでしょう。
そして、社会人としての態度がちゃんとしていればいいというほど簡単なことでもありません。
無意識のふるまいで、こちらがどの程度本気なのかということを見透かされてしまうこともあります。たとえばメモをとらないといったふるまいによって、本気度が低いと見なされてしまうわけです。
いくらなんでも自分はこんなことはしない、と思う方がほとんどだと思いますが、こんな面接はマナー違反。当たり前ですが、会社は貴重な時間を割いて待っているのです。
言うまでもないことですが、履歴書はきちんと書きましょう。字に自信がない人でも、一生懸命書けば心は伝わります。
職務経歴書などは他人に読んでもらって、わかりにくい表現や業界用語などを改めましょう。
ハローワークではそういったものも見てもらえますので、自信がない人は利用してみましょう。
面接のときはいい感じだと思ったのに……
何がいけなかったのかがわからないと、場合によっては、他の会社でも同じ結果に終わってしまうこともあり得ます。
そんな場合は、その企業に不採用の理由を問い合わせてみましょう。
不採用の理由を問い合わせること自体はマナー違反とは言えません。
ただし、丁寧で社会人としてのモラルを守った言葉遣いを心がけましょう。
不採用理由を問い合わせるには、電話だと相手の忙しい時間帯がわからないので、手間が少ないメールが適切です。
また、不採用の連絡を受け取ってからなるべく時間が経過していないほうがいいのは、言うまでもありません(選考に関わる書類は速やかに処分されるのが一般的です)。
具体的には、不採用通知への返信として、下記のような文面でメールを送るのがいいでしょう。
お世話になっております。先日面接させていただいた【あなたの名前】です。
お忙しい中、お時間を頂き誠にありがとうございました。
選考結果のご連絡を頂き、重ね重ねありがとうございます。
不採用という今回の結果は大変残念ですが、大変勉強になりました。
今後の就職活動にも反映して参りたいと思います。
差し支えなければ、今後の就職活動の参考としたいため、
今回不採用とご判断された理由をご教示頂けませんでしょうか。
お忙しいところ大変恐縮ですが、ご返信頂ければ、誠に幸いです。
何卒よろしくお願い致します。
もし、「そういった内容にはお答えできません」などと断られてしまった場合は、しつこく食い下がることは避けましょう。
「承知いたしました。お忙しいところ不躾なお願いをして、大変失礼いたしました」と一言謝罪を返信してください。
理由を教えてくれば場合は、もちろん、お礼をきちんと伝えるのも忘れないように。
重ね重ね注意してほしいのは、クレーマーのようになってしまわないようにということです。
そんな自覚がなくても、企業側からすると、責められたように感じられ、迷惑をかけてしまうかもしれません。忙しい相手に手間と時間を割いてもらっているという自覚を忘れずにいないように意識してください。
ただ、企業側の担当者も人間ですから、ネガティブな本音を包み隠さずに教えてもらうことは、難しいこともあります。
最近ではSNSなどによって企業の情報がすぐに知れ渡ってしまうこともあります。
不採用理由の答え方によっては、企業としてのモラルが問われる場合もありますし、どうしてもネガティブな内容になります。
企業側からすると、その理由を真摯に受け止めて、今後の就職活動に役立ててくれるならいいのですが、人によっては反発して、良くない口コミを拡散してしまうかもしれない、という考え方をするでしょう。
そういったことから、「採用枠が少なかったもので」「残念ながら、今回はご縁がありませんでした」といった、あまり参考にならない回答しかもらえない場合もあるでしょう。
また、役員面接や最終面接で不採用になった場合などは、採用担当者が具体的な不採用理由を知らないこともあります。上層部のスタッフから「不採用」という結果だけが担当者に降りてきているという場合です。企業の方針として、問い合わせには対応しないことになっているという場合もあります。
不採用の理由を把握しておくことで、今回の結果は残念に終わってしまったとしても、次回以降の就職活動に大いに役立てることができるはずです。
不採用に落ち込んでいる暇はありません。下向きにならずに、少しでも失敗を活かすことを考えて、具体的に対策を立てましょう。